2013年4月15日に「韓国市民放射能監視センター」設立総会と記念シンポジウムに「ちくりん舎」副理事長として招待され、参加してきました。
少し遅くなりましたがその報告を2回に分けてアップします。
FoEの満田さんと2人での訪問です。 「韓国市民放射能監視センター」はちくりん舎の正式名称「市民放射能監視センター」と全く同じ名前です。韓国の環境団体、生協、弁護士グループ、カトリックグループなど7団体*で構成し、寄付により1000万以上の資金を集め、ゲルマニウム半導体測定器を設置した監視センターを設立したのです。
*1緑病院労働環境健康研究所、ドレ生協連合会、女性ミヌ会生協連合会、エコ生協、チャイルドセイブ、ハンサリム連合会、環境運動連合
日程としては以下のものでした。
4/15朝:羽田発で韓国金浦空港へ
4/15午後:設立総会でのスピーチ、記念シンポジウムでのプレゼンと討論
4/15夜:懇親会
4/16午前:ソウル市内の緑病院へ。緑病院労働環境研究所で所長のイム・サンユック氏、研究員のイム・ユング氏、ロ・ダル氏、韓国環境運動連合のキム・ヘジョンさんらと、お互いの活動についての計画や実情、課題などについての交流会議。 4/16 昼:緑病院院長のヤン・セオン氏を含めて昼食と懇談会。
わずか2日間の交流でしたが、大変濃密で意義深いものでした。
[韓国市民放射能監視センター設立式]
先ず感じたのは、若いお母さんが多く、中には赤ちゃんを抱いたお母さんもいました。会場は100人程度のところでしょうか、立ち見ができて120人くらいいたように思います。大勢が参加しているにもかかわらず、ステージに集中して、とても熱い熱気を感じました。韓国メディアもテレビが4社くらい来ていました。
さっそく、設立式セレモニーで日本の「放射能監視センター」代表としての挨拶をしました。福島原発の収束などウソで、大変深刻な状況であること、市民からの放射能監視は原子力ムラの原発推進の監視につながることを話しました。フクイチの深刻な実態はほとんど伝わっていないようです。
[記念シンポジウムプレゼン]
ヘレン・カルディコットさんが基調講演をしました。被曝影響の基本的な話、日本からの輸入食品の危険性の話、チェルノブイリでの奇形児発生の話などでした。
私は「福島原発事故後の市民の放射能測定と被曝最小限化の取り組み」と題して、福島原発事故後の、放射能測定プロジェクト、20ミリ問題、尿検査、ちくりん舎の設立にいたる過程などを話ました。若いお母さん方が中心ですので大変、熱心に聞いてくれました。
満田さんは「福島原発事故後の日本政府の避難政策と健康問題について」という題で、日本政府の避難地域指定の状況と自主避難者の状況、「避難の権利」運動、甲状腺ガンの発生状況、福島健康管理調査の問題点などをスピーチして、こちらも、参加者は熱心に聞いていました。
キム・ヘジュンさん(この企画の中心人物)は、これまでの韓国内での、市民による測定活動の話を中心にしました。事故後、韓国内でも市民が測定器を持っていろいろなところを測定したようです。その結果、アスファルト道路の一部で線量の高いところがあり、市当局に要請してアスファルト撤去工事をさせた実績(原因は不明だがアスファルト生産の過程で核廃棄物が紛れ込んだのか)、壁紙から放射線を検出(原材料に自然放射性物質を使っていた)、粉ミルクで0.6ベクレル/Kgが2回検出され、公表したらメーカーから告訴され裁判になっている話などが出た。
[シンポジウム]
政府の原子力安全委員会、食品医薬品安全庁の課長クラスが出席してパネラーとして発言、他のパネラーと混じって発言していたのには驚いた。言っていたことは、「福島からの放射能は韓国には飛んできていない」、「魚からの放射能の検出減っている」など日本と似たようなものだが、会場から追求するような形ではなく、言いたいことを言い合うという雰囲気には驚きました。
海洋汚染が心配というフロアからの質問に、食品医薬品安全庁の課長は「海洋の水で薄められるから影響でない」と発言。これには、会場のお母さん方から大きな失笑が巻き起こった。政府側は「笑われると真剣に話せないとの」弁明。なんだかのんびりしたムードもあった。
シンポの発言者として官僚がしっかり発言するところに、日本との違いがあるように感じました。官僚的なノラリクラリではなくしっかり言い切るところは国民性でしょうか。
(その2へ続く)
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