証人尋問申請も実地検証も全て「却下」-田村バイオマス訴訟第10回法廷

昨日8月10日、田村バイオマス訴訟第10回期日が福島地裁において開かれました。田村バイオマス(田村BE)は福島県内の放射能汚染チップを燃料として使う(自主基準100Bq/kg以下)ことを公言しています。
 
田村バイオマス訴訟は、本田仁一前田村市長が、住民の放射能に対する不安が強いため「国内最高レベルの安全対策」と称して、「バグフィルタの後段にヘパフィルタを設置」すると議会で説明し、設置されたHEPAフィルタが、実際は役に立たないものであり、田村市が支出した11億6300万円の補助金は詐欺又は錯誤によるものであるから、田村BEに対し返還請求をせよ、との訴えを起こしたものです。
 
これまで、原告側が提出してきたHEPAフィルタの数々の問題点について、被告側は一切具体的なデータや図面を出しての反論をせず、HEPA設置は「安心のため設置」「集塵率など具体的な数値を出す必要はない」などとして、言い逃れに終始してきました。
 
4月に裁判長が変わり、今回は新裁判長のもとで2回目の裁判期日。
 
本日の裁判期日では、「原告側が提出した証人尋問は全て却下、現地検証も却下、10月4日に結審するので、その2週間前までに被告側反論、原告側最終準備書面を出すように」と裁判長が述べてあっけなく終了しました。
坂本弁護士が「現地検証もしないでまともな判決が書けるとは思えない」と反論しましたが、「これまでの陳述で十分です。却下します」と、あくまでも事務的に通告がありました。
 
現場も見ようとせず、原告側が申請した、原告2人(久住、吉川)、証人4人(筒井(プラントエンジニアの会)、青木(ちくりん舎)、本田仁一前田村市長、小檜山前田村BE社長)の尋問も一切行わないという驚くべき訴訟指揮です。
 
10月4日結審で、判決は恐らく年明けになりそうです。
 
これまで、被告側は法廷では「具体的反論をする」、「図面等で反論」すると言いながら、実際は争点ずらしの主張や、「安心のため設置」などという言いのがれをくりかえてきました。その結果、被告側は、半年以上裁判を事実上停滞させ、引き延ばしを図り、一方で、現地では工事、試運転を進め、4月から本稼働に入りました。
今回、その試運転、稼働後のデータ(HEPAフィルタが無くても実現できる、環境省の緩い基準のデータや信憑性の疑わしい燃料チップ測定データ)を出すことで、もともと、田村バイオマスには何も問題がなかった、ということを裁判所に印象付けようとした可能性があります。
 
計画予算の具体的内容を示さないまま、HEPAフィルタは田村BEが自主的に付けたものでそれは補助金とは関係ない、というような主張もしており、それを踏襲した判決になる可能性もあります。
 
虚偽の「HEPAフィルタ設置」により、市議会と住民を騙して補助金支出の予算案を通したという、本訴訟の主要な争点が捻じ曲げてしまう可能性があります。
 
原告、傍聴者はここまでとは、全く予想もしていなかった展開で目が点になりました。法廷後の坂本弁護士の説明で、ようやく全貌が分かった人がほとんどです。
 
坂本弁護士からは、まだ少し早いかもしれないが、高裁への控訴を考えるべきだとの発言がありました。
裁判長は今年4月から交替になりました。そして、その新裁判長のもとで2回目の裁判期日でこのような展開になりました。裁判所には、これでの訴訟の趣旨や、裁判での原告被告双方の主張を冷静、客観的に判断して欲しいと考えます。
 
 
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3 Responses to 証人尋問申請も実地検証も全て「却下」-田村バイオマス訴訟第10回法廷

  1. 宮城 星野憲太郎 says:

    宮城合同労働組合の星野憲太郎です。

     大変驚いています。

     「飯館村焼却炉被ばく労働裁判」も同じ小川裁判長の下で行っており、和田央子さんや私が支援する会の事務局を担当しています。
     原告側の小野寺弁護士、霜越弁護士及びこの裁判を傍聴支援してこられた宮城の方々にも、青木さんの報告を伝えました。なお、小野寺弁護士は宮城県大崎市焼却炉裁判の原告側弁護団の中心におられます。

     私は前々回の裁判(第8回口頭弁論)を傍聴していますが、小川裁判長は、「証人尋問の期日を1日確保しておきたい」と述べて、双方の弁護士が全日空けられる日を尋ねて、その調整の結果10月4日が確認されたと記憶しております。
     いつ、どういう判断材料が加わって、「これまでの陳述で十分」となり、証人尋問を飛ばして一挙に結審することにしたのか? 自ら作った訴訟進行の流れを自己否定し、訴訟指揮権を濫用したというべきではないでしょうか!嘆かわしいことに裁判官が信義則に反する行為をやっています。

     小川裁判長は、「飯館村焼却炉被ばく労働裁判」の証人尋問期日を本年10月28日に指定しています。この裁判は、被告会社の安全配慮義務違反を問う内容であり、損害賠償事件なので訴訟の性格が異なります。しかし、この裁判長は何を言い出すかわからない人ということが分かり、危惧するところです。尋問を経て当事者の心証をつかんでから判決を出すのが本筋です。注意しながら進めていきたいと思います。

     最後まで共に頑張りましょう!

  2. aoki says:

    瀬川さん、コメントありがとうございます。
    4月から変わったのは仙台から来た女性裁判長です。1回目のあと、バリバリ事務的にこなしそうな感じがする、とか、男社会の裁判官社会で上昇志向の女性裁判官は男以上に反動的な判決を書く、とか、とにかく数をこなす裁判官が評価される、などと話していたところです。
    それらが全て当たってしまった感じです。

  3. 瀬川嘉之 says:

    ひどすぎますね。新裁判長はどういう人でしょう?変わったのは裁判長だけですか?日本は環境行政も低レベルですけれど、環境司法もかな。環境立法から変えないとダメかもしれません。どんどん沈没していく気がします。もう追いつかないかな。

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