7月20日~22日の2泊3日の行程で、南相馬市、富岡町周辺の調査ツアーに出かけました。参加者は、ちくりん舎から2名、たまあじさいの会から4名、ACROのDavid Boilley理事長、A社(放射線計測器会社)の技術者1名の合計8名です。
地元でのコーディネータ兼案内役は南相馬市のOさん、田村市都路在住のFさんです。
今回のツアーの目的は
(1)A社保有のガンマ線イメージングカメラで民家周辺の汚染実態の撮影テスト、除染ごみ焼却炉周辺の汚染実態の撮影テスト。
(2)南相馬市原町区の民家周辺の線量調査、リネン吸着法による調査、土壌などのサンプリング。
(3)南相馬避難指定20ミリ基準撤回裁判の原告団勉強会へ参加しての交流。
(4)富岡など避難解除準備区域の実態見学。
等です。
幸い、3日間とも曇りで気温もそれほど高くなく、朝8時半ころから夕方5時くらいまで
びっしりとしたスケジュールで、また1日目の夜は原告団勉強会が夜9時前まで続くなど、ハードスケジュールでした。
目的の第1のガンマ線イメージングは民家周辺では威力を発揮してかなり有効に使えそうな結果を得ることができました。
撮影をさせていただいった南相馬原町区のAさんは自宅の庭にモリアオガエルが産卵するのでそれを孵化して自然に返す活動を長らく続けています。福島事故後は産卵した卵の一部が腐ってしまうことや、孵化する個体数が激減したこと、生まれたモリアオガエルが手がなかったり足がなかったりの奇形が目立つなど、これまで経験したことがないとお話をされ、その写真を見せていただきました。とてもショッキングな事実です。
焼却炉周辺のイメージングは焼却炉のギリギリまで接近して撮影を試みましたが、やはり距離が遠く、カメラ周辺に雑草や瓦礫などの汚染源があるため焼却炉そのものの撮影は困難でした。
原告団勉強会では、ツアー参加者が講師となり、最近発表された「土壌汚染と内部被ばくの相関は少ない」とする坪倉論文の批判、David氏による世界の避難指定レベルと比べいかに日本の20ミリ基準が不当であるかの解説、たまあじさいの会からの低線量被ばくの健康影響についての解説などがありました。
最終日には焼却炉周辺の撮影と平行して。富岡周辺の地域の実態見学も行いました。
David氏をはじめ、初めて富岡町周辺を見る参加者は、5年たった現在でも周辺汚染が
酷く、生活環境が荒れ果てている実態を目の当たりにしました。
このような汚染状況が続くにも関わらず避難指定解除に動き、住民を無理やり帰還させ
ようとする、政府の姿勢に参加者は改めて憤りを感じました。短い期間でしたがガンマ線イメージングカメラでの汚染実態撮影など新たな試みも成果を得ることができました。今後の継続して取り組み、地域の裁判支援などに活かしていきたいと考えています。
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