林野庁主催、福島県後援で”福島の森林・林業再生に向けたシンポジウム”が12月9日に東京で開かれた。
その中で、国立研究開発法人・森林総合研究所木材研究部門の安倍久氏による講演で興味深いデータが示された。
福島の森林のスギやコナラの立木のセシウム濃度が年々上昇傾向にあるということだ。
下記の図を見て欲しい。
樹皮の部分はスギ、コナラ共に2011年から2017年にかけて年々減少しているように見える。しかし問題は辺材、指心材と言われる部分だ。樹皮のすぐ内側の部分が辺材、木の中心部分が心材だ。辺材、心材は樹皮とは逆に2011年から2017年と年を経るにつれてじわじわセシウム濃度が上昇している傾向がうかがえる。
それにしたがって、材全体でもセシウム濃度の上昇傾向がスギ、コナラともに見られる。樹皮というのは木の一番外側の皮の部分なので体積からすれば、辺材、心材に比べ圧倒的に少ない。だから樹皮のセシウム濃度が下がったからと言って安心はできない。むしろ材全体としてじわじわ上昇していることが問題だ。生物濃縮ということばがあるが、立木も同じようにセシウムを時間がたつにつれて溜め込んでいるということになる。
木質バイオマス発電の建設ラッシュで福島では皆伐が進んでいる。「濃度の高い樹皮は使わない」という言葉で騙されてはいけない。圧倒的に体積の多い、チップ化される辺材、心材が年とともにセシウム濃度を挙げている。こんなものを何年も再生エネルギーと称して燃やし続けるのは、とんでもないことだ。
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