前回に引き続き中間貯蔵施設見学ツアーの報告です。
〇中間貯蔵施設工事情報センター
ツアー2日目の朝、中間貯蔵施設工事情報センターに集合して中間貯蔵施設の概略説明を受けました。センターはフクイチ脇を通る国道6号線の帰還困難区域内にあります。国道6号線の帰還困難区域内は一時停止禁止、途中下車禁止ですが、このセンター駐車場は下車可能です。駐車場で放射線量は0.3μSv/h程度、センター建物内でも0.27μSv/hありました。
〇広大な中間貯蔵施設
中間貯蔵施設は大熊、双葉両町にまたがりフクイチを取り囲むような形に位置しています。広さは1600haですので一辺4㎞の正方形程度の大きさです。
施設内はバスで移動して車窓から見学します(途中下車なし)。主要施設を回るだけで約1時間半かかりました。その広大さが実感できます。
〇除染土(汚染土)一時置き場
施設内各地に運び込んだ除染土のフレコンバックが一時保管されています。こうした一時置き場周辺や土地売却に応じていないお宅の場所では線量が高く、バス車内でも1.42~1.8μSv/h程度ありました。屋外ではおそらくこの2倍程度になると思われます。
〇フレコンバッグ内除染土は解袋され大きな篩にかけられ分別されます。分別により8000Bq/kg以下と以上の濃度に分けられ土壌貯蔵施設に巨大な長いコンベアラインで移送されます。
〇異彩を放つ焼却炉と高温溶融炉
土木工事的なイメージの強い敷地内で異彩を放つ建物が、可燃物を燃やす仮設焼却炉と仮設灰処理施設です。仮設灰処理施設とはセシウムを高濃度に含む灰や土を高温で処理してセシウムを気化させて飛ばしセシウムと溶融物(スラグ)とに分ける施設です。この処理によりギガ(数十億)ベクレル/kgの超高濃度の放射性廃棄物が生まれます。究極の減容化施設ですが、原子力規制庁の規制は受けないそうです。バグフィルタでは超高濃度のセシウムを含む微粒子は捕捉できず周辺にまき散らされる可能性があります。
これらの設備は大熊町側、双葉町側にそれぞれ点在しています。
〇30年後に持ち出す先はあるのか?ここにそのまま残されるのか?
ツアーを終えて施設の担当者に質問してみました。対象2200世帯のうち契約ができたのが1800世帯。契約した世帯のうち約90%は売却契約、約10%は賃貸契約です。賃貸契約の方は30年後にこの土地の返却を前提として賃貸契約しているわけです。もちろん契約そのものに応じていない人もいます。
法律では30年後に汚染土は全て福島県外へ運び出すことになっていますが、果たしてそれを受け入れる場所はあるのでしょうか。売買契約をした住民の方は「結局、この場所が最終処分地になるのだろうな」と感想を述べる人もいるそうです。
ちなみに、この広大な場所内には縄文時代の遺跡や古い神社、墓地なども点在しています。それらを見た時に沖縄・普天間基地内の墓地の存在を思い出しました。30年で問題は解決しないでしょう。残念なことですが、原発事故と放射能汚染、そして除染の後始末はやはり長い年月にわたり負の遺産として残らざるをえないのでしょう。そして工事が続く限り、フクイチと同様に周辺への再汚染、汚染の拡散は続きます。
※その3に続く
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