田村バイオマス発電が稼働5か月で故障停止!HEPAフィルタからバキュームカーで排水した事故のカラクリを考える

9月25日の「止めよう!放射能をばらまく汚染木バイオマス発電」オンライン集会へ多くの方の参加ありがとうございました!オンライン集会のプレゼン資料とビデオアーカイブをアップする予定ですが、作業が遅れております。もうしばらくお待ちください。

オンライン集会の場で、地元住民のかたから「田村BEが2日前から止まっている。名古屋ナンバーの車が来ていて、人がHEPAフィルタダクトに入って、バキュームカーで排水している」と驚くべき証言がありました。その写真もあります。

集会の場で、「この事故の意味するところはなにか?」との質問がでましたが、情報が少なすぎる、はっきりとしたことは言えない、とあいまいな答えしかできませんでした。その後、冷静になって考えてみたところ、この事故こそ、裁判で原告が主張してきた、HEPAフィルタは偽物=HEPAフィルタダクトの中は実はガランドウだという主張を補強する、重要な証拠だと考えるようになりました。それを説明します。

下図が田村BEが説明しているバイオマス発電の工程図です。

さて、この中で、HEPAフィルタダクトの中からバキュームカーで排水するほど多量の水がどこから発生したのかを考えてみましょう。工程図をみればすぐわかりますね。2つの可能性があります。先ずはボイラーからの熱を蒸気に替える熱交換器(ボイラー出口に青線でとぐろを巻いている部分)、そしてその下流の熱交換器。この熱交換器は図には表現されていませんが、中を水が循環しているパイプがあって、それで数百度の排ガスをバグフィルタの耐熱温度である、200℃程度に下げています。蒸気発生器と熱交換器、これらはどちらも多量の水が循環していて、かつ熱交換の効率をよくするため材質はできるだけ薄く、そして、表面積は極めて大きくなるよう設計されています。・・ということは機械的には脆弱でピンホール、亀裂、パッキン亀裂など水漏れが起きやすい場所なのです。(余談ですが加圧水型軽水炉の最大の弱点はこの蒸気発生器で過去にも、どこでしたっけ?大事故をおこしていますよね)。

蒸気発生器か熱交換器のどちらかから水漏れが発生し、排ガス中に水が入り込むとどうなるでしょう。バグフィルタまでは、少なくとも200℃以上、かつ数字は分かりませんが圧力がかかっています(バグフィルタの圧力損失)がありますので。200℃以上で圧力のかかっている排ガス中では水は水蒸気(といってもヤカンからでるような白く見えるモヤモヤとは異なります、ほとんど見えない乾きガス状態)としてバグフィルターをすり抜けてしまいます。

さて、ここからが重要なところ。HEPAフィルタダクトが実際には中にはフィルタユニットが設置されていない、外側だけのガランドウだったらどうなるでしょう。・・・そうです。圧力がかかっていた高熱の排ガスが一気に大気圧になります。高校の物理で減圧冷却という現象があることを覚えていますか?(中学かな?)。とにかく、圧力のかかった気体が、一気に減圧されると、そのガスの温度は一気に下がるという物理現象です。温度が下がると高温高圧の水蒸気ガスはどうなるでしょうか。・・・そうです、水蒸気は一気に凝縮して水になります。蒸気発生器か熱交換器からのわずかな水漏れでも稼働し続ければ、どんどん水蒸気が凝縮して水は溜まっていきますよね。

そこで!!HEPAフィルタ設置は偽物で、実はダクトの中はガランドウという主張(推定)とみごとに合致するではありませんか!

※燃焼ガス800℃以上のものにも当然水分は含まれます。蒸気発生器、熱交換器の水漏れがなくても、燃焼ガスの水分だけでもガランドウの大気圧のダクト内で減圧冷却で水蒸気になり凝縮して水たまりができることは十分考えられます。そう冬になると煙突の水蒸気が目に見えるようになりますね。あれです。(2021.12.14追記)

10月4日が結審です。最終準備書面の提出ギリギリの出来事でした。求釈明で被告側にこれを問いただすことはもうできません。しかし、提出期限ギリギリに上記の見解を意見書として作成して提出、坂本弁護士はこれを証拠として準備書面を作成しれくれました。

田村バイオマスは、この推定が違う!というのであれば、事故の詳細を裁判の場でなくとも公開する責任があります。

※この話の後日談:この意見書を書いて出した後、地元の原告から、9月10日付で地域協議会に郵送で「9月18日から定期点検に入る」という通知文書が来ていた、との連絡がありました。一瞬動揺しました。事故ではなく定期点検だったのかと。・・・でも落ち着いて考えれば、これも田村BEの大ウソだとすぐ気づきます。田村バイオマスの稼働開始は4月です。たかだか5か月の運転で定期点検を入れなければならないプラントなど聞いたことがありません。もしそんなプラントであれば、メーカに賠償責任を問うような問題です。一般には定修と呼ばれる定期点検は大体年1回程度です。原発はそれを2年に1回にしようとしている(もうしているのかな)。

水漏れに気づいて、プラントを止めなければならなくなったが、裁判中の問題のHEPAフィルタダクトを開いて排水などというのが問題になればやばいことになる、そう考えて故障・事故ではなく「定期点検」ということにしようと、あわてて地域協議会に郵送で連絡した、というのが事実ではないでしょうか。

とにかく、稼働4か月で定期点検を入れるなどというのはプラント屋からみれば常識外れです。専門家ならすぐわかるこの事実を、是非皆さんも知って欲しい。

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