報告:中間貯蔵施設と伊達市バイオマス発電施設見学ツアー(その2)

ツアー2日目午前は、福島県伊達市梁川町に建設中のバイオマス発電の現地視察を行い、午後から木質バイオマス発電についての学習会で講師としてお話しをしました。

梁川町バイオマス発電は群馬県の産廃業者の株式会社ログが進めている事業です。福島県伊達市梁川町の工業団地の一画にあり、すでに建設はすすんでいます。発電所は福島バイオパワーとなっています。

既に建設は進んでいる

発注者は株式会社ログとなっていますが、事業所名は福島バイオパワーとなっています。

 

現場は工業団地ですが、すぐ近くには民家があり住宅街が広がっています。この問題を察知して伊達市議会議員の勉強会でレクチャーをしたのが2020年10月です。

株式会社ログによる市幹部や市会議員への説明会では、建築廃材6割、廃プラ4割を燃料とするとの説明をしました。事情を知った梁川地域の住民は「梁川市民のくらしと命を守る会」を結成し、誘致反対の署名を9000筆集めて市議会に提出、市議会も昨年、全員一致で反対決議を上げました。

須田博行伊達市長は「建設については法令上、市が関与できないが、引き続き住民から要望があれば説明を求めていきたい」として事実上容認の立場です。

学習会には70人以上の住民が参加し熱のこもったものになりました。

学習会の様子

「バイオマス発電は」隠れ蓑、実際は産廃処分のためのごみ焼却炉

今回の学習会の事前準備の中で疑問だったのは「木質バイオマス発電」としてFIT認定を受けた事業が、どうして「建築廃材6割、廃プラ4割」などと堂々と説明できるのか、という疑問でした。そして分かったことは「バイオマス発電」は隠れ蓑で、実際は産廃焼却炉であるようなものを「木質バイオマス発電」として住民をダマして受け入れさせるような仕組みになっている、ということです。

FIT(再生エネルギー固定価格買取制度)では木質バイオマス発電について「建築廃材、一般廃棄物」も燃料として対象に含めています。ここでいう一般廃棄物とはどのようなものでしょうか。経産省によるFITの説明では、一般廃棄物として「剪定枝・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、黒液」を例示して説明しています。廃プラなどの産廃ごみは明示されていません。

ところが、環境省が発行している「廃棄物処理施設における固定価格買取制度(FIT)ガイドブック」という資料があります。この資料のQ2-8「バイオマス発電おける一般廃棄物発電設備においては、バイオマス比率を毎月1回算定することとあるが、具体的には何をどうやって測定すれば良いか?」という設問に対して、「廃棄物中の紙類、厨芥類、草木類(木、竹、わら類)、布類、プラスチック類(ビニール、合成樹脂、ゴム、皮革類)」の熱量ベースでのバイオマス比率を算定して、報告することと、説明しています。

さすがに、FIT制度ではプラスチック、合成樹脂等はバイオマスの算定には入っていないようですが、業者からの「月1回の報告」だけですので実際のところ現場でいいかげんな数字を出してもチェックしようがありません。

それよりも何よりも、こうしたQ&Aがあること自体が意図的に、実態は発電目的ではなく産廃業者の焼却炉であるにもかかわらず「木質バイオマス発電」としてFIT認定して、住民の反対をごまかすような枠組みになっていることが明らかになりました。

地元の住民はこんな設備を許してはいけない、ということで、産廃問題に詳しい坂本博之弁護士とオンラインでつなぎ、今後の進め方について協議をしました。

※当日の青木のプレゼン資料はこちらからDLできます。

※当日の「市民のくらしと命を守る会」資料はこちらからDLできます

convert this post to pdf.
This entry was posted in 00その他(全件). Bookmark the permalink.

コメントを残す