8月26日仙台高裁において田村バイオマス訴訟控訴審第2回口頭弁論期日がありました。この内容を複数回に分けて報告したいと思います。
控訴審第1回期日では、裁判長から被告側に釈明を求める驚きの展開になりました。①HEPAフィルタの内容がはっきりしない。具体的資料を出すように。②昨年の「定期点検」でバキュームカーで掃除、交換したというがその具体的説明。③燃料チップを1分で測定できるという具体的説明。の3点の説明要求に対して、被告側は「控訴審第1準備書面」を出してきました。
その内容が、技術的に見ればオウンゴール連発、ツッコミどころ満載のものでした。裁判所や原告をこの程度のものでごまかすことができると考えたのでしょうか。早速、反論の意見書を作成、その内容も含んで坂本弁護士が原告「控訴審準備書面(2)(3)」を提出しました。
開廷前に坂本弁護士は「今日で結審になるかもしれない」との可能性を口にしましたが、結局裁判長は「被告は原告の準備書面に反論しますか?」と問い掛け、被告側弁護士が「はい、2か月ほど時間をいただきたい」ということで、次回口頭弁論期日は11月18日(金)14時30分からと決まりました。
被告側はウソにウソを重ねて収拾がつかない状態になっています。多岐にわたりますので、その象徴的な事例をいくつか紹介したいと思います。
●稼働後2か月でHEPAフィルタが目詰まりした!?
被告側は上記②の説明要求に対して、令和3年6月にHEPAフィルタを交換したとして交換したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書を提出しました。令和3年6月とは田村バイオマスが稼働開始2か月後のことです。原告は(そして当然裁判所も)6月にHEPAフィルタを交換したという事実は承知していません。原告が問題にしたのば令和3年9月にHEPAフィルタダクトにバキュームカー(糞尿や汚泥を排出するもの)を持ち込んで掃除したという事実です。被告はよほどこの事実の説明を避けたい事情があるのでしょう。1μm(1ミリの千分の1)以下の超微粒子を捕捉する繊細なHEPAフィルタをバキュームカーで掃除するなど、およそ異常な行為です。
推測ですが、被告はこのバキュームカー掃除の説明を避けるために、令和3年6月のHEPAフィルタ交換の説明で「お茶を濁そう」と考えたのではないでしょうか。ところで、令和3年6月といえば、田村バイオマスが4月に稼働してからわずか2か月しかたっていません。バグフィルタが微粒子を十分補足できないために短期間でHEPAが目詰まりを起こす、それを防止するためにはプレフィルタというやや目の粗いフィルタを上流側に付けなければならないが、それがついていないということは、第1審の福島地裁で原告がHEPAフィルタが本来の機能を果たさない偽物である根拠として主張をしてきたところです。
当然、原告側はこの点をついて、わずか2か月でHEPAが目詰まりを起こしたのは、原告が主張してきた通りのことを証明するものではないか、との反論を意見書と準備書面で指摘したのです。法廷期日直前にこの反論を受けた被告側弁護士はそうとうウロタエたと考えられます。
何と、法廷の冒頭で被告控訴審第1準備書面中の「令和3年6月」の記載は「令和3年9月」の誤りだと口頭で告げたのです。・・・・しかし、被告が証拠として提出したHEPAフィルタ30枚の納品書と請求書にはしっかりと「2021年6月9日」の日付が記載されているのです。
この証拠として提出された納品書と請求書が偽造書類なのでしょうか、それともうろたえた被告側弁護士が早まって「令和3年9月の誤り」と言ってしまったのでしょうか。ウソにウソを重ねるから答弁に辻褄が合わなくなってボロをだしてしまうのです。被告側はウソの積み重ねに収拾がつかなくなっていることを示す一幕ではありました。
田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(2)
田村市バイオマス発電住民訴訟・控訴審準備書面(3)
田村市バイオマス発電住民訴訟・甲116(甲113に対する追加意見書)
※(2)に続く
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青木様詳細な説明を有難うございます。尚、(2)ではHEPAユニットのボルトの問題も説明していただければ有難いです。 久住