8月19日に長野県飯山市で”戸狩工業団地への県内最大級「木質バイオマス発電所」誘致の問題点を考える講演会”が開かれました。
講演会は飯山市の江沢きしお市議後援会主催です。午前と午後の2回にわたり開かれた講演会はどちらも盛況で用意した席が不足して一部立ち見で参加されたかたもいらっしゃいました。
ちくりん舎の青木からは「汚染木燃料が引き起こす大気汚染の危険性」とのタイトルでお話をしました。
福島を中心に除染土再利用や除染ごみ焼却などの事態が進められていて、木質バイオマス発電も除染ごみ減容化の一環として位置付けられている事実があること、汚染木材の焼却により放射能を含む微小粒子の拡散は避けられないこと、飯山市の地形や風向にもとづくとどのような拡散が推定されるのか、などの説明をしました。
当日の講演資料は下記からダウンロードできます。※ファイルが大きいので2つに分割します。
講演会では青木の他に、肥田登 秋田大学名誉教授から「地下水の大量くみ上げと地下水の枯渇」と題した講演があり、また後援会の常田正美氏から「地域産材では大幅に不足する燃料材」と題した講演がありました。
肥田登教授のお話では、飯山市の盆地は比較的狭いもので、毎日1000トンもの地下水のくみ上げは井戸水水位の低下などの影響がないわけがないとのお話がありました。また常田正美氏は飯山市がイオン環境財団に委託した報告書を読み込み、50km圏内を想定した地域産材では予定される年間9万トンの間伐材のうちせいぜい2万トンしか見込めない実態のお話がありました。
最後に、江沢きしお市議が総括として発言され、以下の4つの問題点を指摘しました。
(1)汚染木材の使用懸念が解消されないこと。
(2)毎日1000トンの地下水使用で影響が何もないとは考えられない、次第に水位低下は避けられないこと。
(3)地域産材では木材燃料が大幅に不足する見込みであること。
(4)周辺景観に対して全くそぐわない。高さ30mの建築物は飯山市景観条例からも逸脱するものであること。
江沢きしお市議は最後に、バイオマスは地産地消ができる規模で、熱利用中心または熱電併給であるべきとして話をまとめられました。
convert this post to pdf.