2月16日、仙台地裁で放射能ごみ焼却に反対する大崎住民訴訟第15回口頭弁論期日が開かれました。
今回の焦点は、昨年11月に玉造クリーンセンターで行った排ガス精密測定の結果と、その分析結果についてです。
排ガス測定の結果は、既にお知らせしたように、ばいじん重量で想定の3から12倍の濃度を検出したものの、セシウム濃度は不検出でした。
セシウムが不検出となったのは、大崎市の放射能ごみ焼却が一般ごみとの混焼で極めて薄めて焼却している(事後に判明)からです。
しかし、ばいじん漏れが重量で検出できたことは、セシウム漏れを検出したことと意味的にはほとんど同じ意義を持ちます。このことをどうやって裁判官に理解させるかが、課題でした。
法廷で(残念ながら筆者は今回は傍聴できませんでした)、弁護団の草場弁護士は、ばいじん(飛灰)にセシウムがどのように付着しているかを模型を持ち出して説明しました。
ばいじん(飛灰)とセシウムの関係は、ばいじん粒子の表面にセシウム(主に塩化セシウム)が小さな粒子となって付着しているのです。これを、表面にセシウムを表す(マーカーで付けた)点々をつけたばいじん模型を示して裁判官に説明したのです。
この説明で、ばいじんが漏れは重量で検出されたが、セシウムは不検出だから漏れていない、という論理がなりたたないことを鮮やかに示しました。創意工夫に満ちた弁護団にアッパレの声援を送りたいと思います。
セシウムがばいじんの表面に付着している、という決定的な証拠は、環境省(国環研)のHPで自ら説明しています。
「ガス冷却室で排ガスが200℃以下に急冷される過程で固体となり、ばいじんに吸着します。(塩化セシウムの沸点が1,300℃、融点が646℃)そして、バグフィルター内のろ布の表面で、ばいじんごと放射性セシウムは捕集されます。(出典:(独)国立環境研究所提供資料より)」
「ばいじんごとセシウムは捕集」なのでばいじんが漏れたら吸着しているセシウムは一緒にもれているということです。
ちなみに、ばいじんのセシウム濃度(バグフィルタで捕捉したもの)は大崎市の発表で230Bq/kgと発表されています。国立環境研の大迫政浩氏らの論文によれば、ばいじんに付着したセシウム濃度はその粒径が小さくなるほどセシウム濃度が高くなることが明らかにされています。大迫論文のデータを単純に玉造CCのばいじん濃度で計算すると粒径0.165μmで810Bq/kgとなります。つまり概算で200Bq/kg~810Bq/kgのセシウム濃度のばいじんが漏れていることになります。
漏れているばいじん濃度から計算すると、7年間では600kg近くのばいじんが周辺に漏れ出てきます。しかもこれらは、均一に薄められるのではなく、風下の特定の地域に集中する傾向があります。
これらの説明はオンライン報告会でも説明しましたので、こちらからご覧ください。
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