田村バイオマス訴訟第4回法廷が開かれました

6月2日、福島地方裁判所において田村バイオマス訴訟の第4回法廷が開かれました。コロナ感染拡大防止で傍聴者の人数制限もあるため、主に福島県内の方に傍聴参加を呼びかけました。13:10分からの法廷には原告および支援者が約15名集まりました。

報告集会の様子

【裁判長の発言に変化?】
法廷では原告側から準備書面(2)が提出されました。前回の裁判長の発言で、原告側の請求原因の整理をして欲しいとのことで、あらためて原告側の主張の整理と前回提出された被告側準備書面(1)(2)への反論が盛り込まれたものです。

田村市バイオマス発電事業住民訴訟・準備書面(2)

田村市バイオマス発電事業住民訴訟・証拠説明書(3)

法廷で裁判長から、「次回、あらためて原告側から燃料として放射性物質の付着したものが持ち込まれる可能性や事前検査についての問題点、およびバグフィルタでは放射性物質が捕捉が機能しないこと主張を整理して出して欲しい」との発言がありました。これに対して原告代理人からは「この裁判では被告が設置するとしているHEPAフィルタが本来の性能を果たせない虚偽のものであり詐欺であることが争点」「燃料への放射能の付着やバグフィルタの欠陥については今回の準備書面(2)でも触れている」との反論がありました。

それに対して裁判長の反応は、「被告側は安心のためHEPAフィルタを設置したと主張している。放射性物質の検査やバグフィルタの機能的欠陥があるかどうかが詐欺の要件に当たるかどうかに関わってくる」という旨の説明がありました。

これは従来の法廷での裁判長の一連の発言と随分異なるものです。裁判長は1回目法廷で「この裁判はHEPAフィルタが争点となる。どういうものか分からないので、その説明を含めて主張を整理してい欲しい」との発言がありました。2回目法廷では「HEPAフィルタの問題点について改めて原告側の主張を整理して欲しい」との発言がありました。原告側はそれらの発言に応えた準備資料や証拠書類を提出してきた経緯があります。

今回の裁判長の発言は、被告側の「HEPAフィルタは『安心のため設置』」との主張をそのまま引用するなど、被告側の論理に引きずられたかのような印象もあります。一方で原告・被告双方の主張を対応させて並列に引き出そうとも考えられます。次回の裁判は8月18日(火)14時~と決まりました。

【報告集会では今後の進め方について議論】
法廷終了後、近くの福島市民会館にて報告集会が開かれました。報告集会では司会の和田央子さんの挨拶のあと、ちくりん舎の青木からこれまでの法廷での論争のポイントの紹介がありました。

田村バイオマス訴訟の経緯と新たな展開はこちらからダウンロードできます

報告集会でこれまでの経緯を説明

その後、坂本弁護士から今回の法廷でのやり取りなどについて解説がありました。裁判長はこれまで本裁判がHEPAフィルタの虚偽性が争点になることを繰り返し発言してきた、今回はそれと異なっているという説明がありました。原告側の主張からすれば、たとえ仮にバグフィルタに欠陥がないとしても、HEPAフィルタが本来の性能を発揮しない虚偽のものであれば問題だとする立場だとの説明がありました。次回法廷に向けては、被告側が住民に向けてバグフィルタについてどれだけ説明してきたのか、も含めて、燃料の放射能汚染、検査の問題、バグフィルタの欠陥について準備書面を用意してゆくとの説明がありました。

原告代表の久住秀司さんからは、情報開示で田村市への寄付金の状況を調査した結果が報告されました。それによると500万円以上の大口寄付が、田村バイオマスが動き出す2018年に集中していることが報告されました。(寄付者は黒塗りのため不明)。田村市議会議員への裁判情況のレクチャー・学習会の計画などが必要との議論もありました。

飯館村からは佐藤八郎村議が参加されました。飯館村では蕨平の仮設焼却炉の跡地にバイオマス発電計画が予定されているようで、その計画について環境省からの説明会があった旨の報告がありました。この問題についても注目が必要で今後連携をして欲しいとの発言がありました。

 

 

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